2010/04/17

のろわれた世界



この恵まれた物質社会は人間にとって果たしていいものなのか。
心がない。
やることが手につかない。
正と悪が交差する。
つい引き込まれそうになる。
カッとする。
やることもおぼつかず未来のビジョンも見えてこない。
心が苦しい。
どうしようもなく切ない。
世界はのろわれている。
父母たちの時代はゼロからのスタートだった。
私たちは恵まれすぎていて何かを見失っている。
すべての人間が見失っている。
いったい何をすべきなのかを知らされもせず。
人を傷つけたりしない。
争いなどしない。
お互いに助け合って生きてきた父母たちの時代。
子供たちが大きくなって気づいた時にはもう遅い。
こののろわれた世界。
人間が人間らしく生きることが難しくなっている。
社会からドロップ・アウトした人間が多くなる。
ありとあらゆるものが霞んで見える。
手をかざしても、
何もこばむことなどできやしない。
こののろわれた世界。
21世紀ははじまったばかりだというのに、
どう生きたらいいんだ。
私の夢は無惨にも砕かれ、ただ唖然と立ち尽くす。
心にもない行動に出る。
ゆっくりと味わって生きるということなんてできるのか。
頭の中はぐるぐるとまわり、
同じところへ戻って行く。
そんな時間の使い方をしていたら、
死を迎えるのはあっという間に決まってる。
私の生きた証しはなにもない。
創造はすべて無。
発表されぬまま、
くずれ落ちて焼かれ灰になる。
誰も私の創り出したものを知らずじまい。
いったいどう表現すればいいのか、
こののろわれた世界。
私の歩いて来た道を記すにはどうすればいいのか。
誰も見るものもいない。
誰に知って欲しいというのだ。
そんなものはない。
心の奥底から沸き上がる発想が、
私が手にした時間の中で創ってきたもの。
それはすべてが無の世界。
虚しく沈むこの気持ちが大きくなる。
私は動くことすらできないでいる。
このままイスの上で死んでいくのか。
私は誰にも味方されることなく、
辛い日々の中に死んでいるのと同じである。
いっそこのまま死んでしまった方が楽になるかもしれない。
小さく見える光の向こうに希望を抱いて生きてきた。
その光さえも雲と雨に遮られ、
太陽の届くところにもうない。
また太陽は必ず昇るとわかっていても、
私の心は待つことを忘れた小鳥のように歌わない。
羽ばたくことさえ忘れてしまったのか。
自分の歌を歌うカナリアは素晴らしい。
ひとり暗く悩み、
ひとりもの思いにふける。
誰に連絡するでもなく、
私はこのひっそりとした時間の中で呼吸する。
こののろわれた世界の中で、
カナリアのように歌うことができたら素晴らしい。
いや、きっとできるに違いない。
そう信じている。
こののろわれた世界でも歌える。
のろわれた世界に生きる。
きっと、明日は今日よりも美しい。
  御供  2005/2/26 11/11/2 13/9/25

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