2011/06/04

2011年4月15日



大震災後の東京の中心になまぬるい風が吹く。
オフィース街を歩く人たちは無口で声も聞こえない。
車の走る音が静かに通り抜ける。
私はこれを書きながらベンチに座り待ちわびる。
ビルの上で点滅する赤い光が夕暮れを知らせる。
ポツリポツリと光が増す。
いつもとは違いわずかに光を放っている。
街角に立つ女の子の足が止まり、
携帯電話を耳に押しつける。
首からカードを下げた男の子がポケットに手を突っ込みながら、
足早でコンビニに向かう。
5〜6人の女学生がおしゃべりしながら帰路につく。
また風が方向を変えて吹き、
ヒューという音が耳にささやく。
いったい東京はどうなってしまうのか。
誰も答えようとしない。
じわじわと押し寄せてくるツナミのように。
おそれている心が大きくなるのを感じる。
巨大な変化が目に見えない早さで襲う。
街を埋め尽くすのは空車の赤が点ったタクシー。
何台も連なって走りすぎる。
また一台。
また二台つづけて。
この大都会東京の街に笑い声が戻って来るのはいつか想像する。
あんなに笑った若いときを目の裏に浮かべる。
やっと待ち人がやって来た。
 御供 2011/4/15

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