ひとつの国がある。
私が幾度も夢にみる国がある。
遠い彼方にあるその国は、青いもやのかかった私の頭の中にある。
今住んでいるこの国では私たちは自分の人生を忘れている。
夜ごと夢の中で平和な道を歩いていると錯覚する。
世の中の憂鬱に疲れ果てているかのように、
おびえる胸に新しい希望を抱いている。
その国では、はじめて歩く道にも親しみを感じる。
輝く光が溢れ、魅力と美しい街並みが目に飛び込んで来る。
その国では、きらめきながら私たちを迎えてくれる。
それはやさしい抱擁のよう。
その国では、新しく、珍しく、好ましく、
純粋な言葉の響きが心にしみわたる。
この国では、ただの愛はなく苦痛だけがあるだけ。
私たちに共通の親近性をほのかに伝える。
その国では、不滅な黄金の波が脈々と揺れ動いている。
その国では、こよなく美しい愛が溢れ、すばらしい時間が流れている。
あらゆる歩みを清めて整った円熟へと、
あらゆる苦痛を清めておだやかな微笑みへと。
現代もおっとりとして生きることを、すごく高みへともっていってくれる。
その国では、日々の混雑に窒息して騙していた声が、
ひとつ残さず柔和な善意を示しながら語る。
その国では、つぼみと花がいっしょになって、
あらゆる枝から憩いとしばしの逃避へと私たちを誘う。
その国では、私たちの知らなかった明るい慰めがある。
その国の夢は、私から一番遠くに現れる。
この国から、その国へのあこがれをかきたてるだけなのか。
君は私を見つめて問う。
その国はどこにあるのかと。
君は夜ごとに星ぼしの白い光の中にその国を見る。
それを君は君の差し伸べられた手の中に持っている。
その国は、大空の果てを美しく飾っているところにある。
白い雲は穏やかに漂いつづけ、
山々が軽やかに無窮のところへ消えてゆく。
何気なく、求められもせぬままに微笑む。
その国を見つけることは、
その国をひたすら求めつづけること、、、、、。
その国をひたすら求めつづけること、、、、、。
思い出してごらん。
はじめて友としっかりと腕を組みながら歩いた日のことを。
女性への初めての内気な愛にとらわれて、
暖かく不思議な苦痛に沈んだ日のことを。
死んだ母の最後の警告のように、
遠い彼方にある奇跡のその国の予感が君の宿命を通り過ぎる。
ふたりなら、ひとりで失敗したことも上手くいくだろう。
この国のこれほどまでにみじめに圧迫している昼の悪夢からも逃げられない。
だから、うっとりした夢から目覚めてその国を探そう。
その国を探している時が幸せなのだ。
時間と永遠が一体となった花を見つけよう。
平和と愛の二重の花を探そう!
H.MITOMO 2013/5/19

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