ある瞬間、ふっと現れてくる心象風景がある。
過去の時間のワン・シーンが、
ゆがんだ形でよみがえる。
決して虚空ではない。
実存したものなのに、
現在にしてみれば嘘のような形をとる。
懐かしい。
その懐かしいことが私の記憶となる。
目をつむり、
一生懸命それを追いかけてみるのだが。
追いかければ追いかける程に、
形はあやふやになり、薄れていってしまう。
いつの何処のどんな時なのかわからぬまま。
不鮮明のまま消えていく。
その過去の一瞬に胸をぐいと包まれたとき、
もう戻れない。
記憶は戻したくても戻れないのである。
わかっていながら、
当たり前のように隔ててこちら側に入口だけを与える。
記憶は浮かんでは来るが、
もうたどり着けない場所。
だから最後はいつも不透明で終わる。
こんなリメンバー遊び。
記憶の糸をたどることがたまにある。
私の人生に出会ったいくつもの記憶は、
とてもダイヤモンドのように輝き、
いつまでも同じ輝きを放つ。
すべての記憶は夢見ごごちの安らかさを与えてくれる。
御供 2000/10/2

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