木と話しをし、
木に傾聴することのできる人は真理を体得する。
木は生きることの根本法則を説く。
教訓や処世術を説くのではない。
木は永遠の生命の一部だ。
木の中にはひとつの核、
ひとつの火花、
ひとつの思想が隠されている。
木の力は信頼だ。
木は自分の祖母のことを何も知らない。
木は年毎に生まれる幾千もの子供たちのことを知らない。
木は自分の種子の秘密を最後まで生き抜く。
それ以外のことは何も木の関心事ではない。
木は神が木の中に存在することを信じる。
木は自分の使命が神聖なものであることを信じる。
この信頼に基づいて木は生きている。
夕方の風で木がざわめくのを聞くと、
私は漂うあこがれが心を強く引く。
一見そう見えるような願望だ。
母の記憶へあこがれである。
一歩一歩が誕生あれ、
一歩一歩が死だ。
あらゆる墓は母だ。
木は私たちより長い一生を持っている。
息の長い考えを持っている。
木はあるがままの自分自身以外のものになろうとはしない。
あるがままの自分自身が故郷だ。
そこに幸福がある。
御供 2000/5/16
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