2011/09/16

広がりの中で



透明の空間の中に恐ろしくつづく広がり。
鏡の中のそれと似ている。
空と呼ばれるものの無限の中に。
私の心の中に。
恐れに似た何かをかきたてて。
こういう大きさに比べて人間はなんと小さく、
なんと無力であるのか。
この空は太古からあった。
いつも大きく青かった。
人間はこの空の下で、
束の間生き、そして死ぬ。
苦しみ、愛し、憎み、楽しみ、そして死ぬ。
無限とはほど遠い有限。
あまりにも有限の存在が人間である。
有限とは異なる無限を思う広がりの中。
あこがれ。
あるいは空の無限の広がりの中で、
人間はすべてを克服する。
なんと大きく、なんと小さい。
人間は知恵を持つ。
この広がりの中で空を飛ぶことに成功する。
空の下に生きて来た。
すべての広がりの中よりも大きく、
考えをめぐらせ空想する。
小さな人間が大きく写る。
でも、人間は小さな存在である。
いつの日も広がりの中で生きている。
 御供 1999/6/27

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