2011/09/25

記憶



私はじっと考えてみる。
凍てついた記憶がゆっくりと流れる。
動きだし、ぼんやりした目を開く。
失われずに眠っていたそのはっきりした映像が輝きを放つ。
はじめの映像は途方もなく古く。
少なくとも10年は経っているように思われる。
けれど、感覚がみるみる生き生きとしてくる。
忘れていた物差しを取り出してひろげる。
うなずき、そして測定する。
すべてが時間的に近いところに来る。
自分が自分である意識を持つ。
自分の経験を確認する。
その瞬間に画像から画像へと移る。
どの画像も近づいて来る。
私の人生の一部。
私の人生のひとこま。
自分であると意識する。
無遠慮にうなずく。
その画像は不気味に写り、
打ち消し、また帰る。
私は自分である意識の中にひたる。
平穏な領域へと抜け出して、
また近づいて来る。
やはりこれも私の人生。
 御供 2000/3/16

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