2011/07/27

もしも



もしも私の心の中に邪悪なさまざまなものがなかったら、
人生は豊かなものになるのだろうか?
私はそうは思わない。
人生とはこの心のアンバランスの中に秘められているのではないか。
もしも正の考えだけだったら、
人間の欲望は消え失せる。
心を乱すこともない。
何の変哲も無い毎日が繰り返されるだけ。
何かを欲しがったり、
性欲や食欲は制御されてしまう。
ただ突っ走ることもないのではないか。
理性に何もかも押さえられ、
日常の繰り返しの中に退屈と同居して生きる。
人間のみだらな欲望はもしかしたら、
人間の喜びの根源にある力強いパワーなのではないか。
混沌としている社会だからこそ、
生きている実感がある。
生きている素晴らしさがあるのではないか。
世の中に対する欲望は耐えることがない。
もしも問題のない日常があるだけだったら、
何かに感激したり喜んだりはしない。
同じ繰り返しである。
こうやって泳いでいたい。
  御供 2000/9/16

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