2011/10/08

春の雨



おお雨よ、春の雨よ。
灰色のヴェールにかすむ山々よ。
葉とつぼみをつけた木々よ。
曇った窓越しにしっとりとしている。
一羽のカラスが上空を舞う。
少し冷えつつある春雨よ。
水がぽたぽたと屋根をつたう。
均一の雨音をつくり出す。
車の中に流れ込む雨に目をやれば、
あきもせず流れていく雨よ。
辛抱つよく池となってたまるのか。
ためらいがちに消えるのか。
春雨はすぐに記憶の奥へほうむられ、
言葉によって保存されるだけ。
春の雨の記憶の中に!
 御供 2000/4/15

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