2011/10/10

初夏の日に



夜通し吹いていた風がぴたっと止まった。
冬枯れを置いて、春の欲望が荒れ狂う。
草花は芽生え、動物たちは目覚める。
春のうるおいの日々をどれだけ待ったことか。
朝は朝に、夕は夕に待ちつづけた。
春について語る風はどこからともなく吹いて来て、
立ち止まりもしない。
どこかへまた吹いて行く。
残された大地に春の気配を見つける。
忘れられぬ笑いのようにやって来る春。
吹きつつ風の中に顔を出す。
初夏の日になる。
 御供 2000/3/3

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