2010/09/01

J・ケルアックに捧げる


[天国]
天国に行くのもソテミルマへ行って、
優しい透き通った目でみるのも同じ。
まだ生まれない。
目の見えない天使が無数にいて、
賢人は死の天使も一人。
天国の領域全体。
ブンブン騒ぐヤツばかり。
まだ生まれない天使たちは、
自分の容姿も解らない。
彼らが未来の死と、
変容の肉体を身にまとっている。
善と自由意志の賢い天使がちゃんと見ている。
ピクニックに行って神々の食べ物を食べ。
百万匹の恐竜と遊んでも、
誰も邪魔しない。
死んだ悪意の天使たちは、
黄金の格子の向こうに悪魔と一緒に閉じ込められている。
もう長いこと楽しいことをしていない。
天国はやがて最後の日が来て、
宇宙のすべてが解き放たれる。
その頃には、
神様の前に立つ時以外は愛はいらない。
教えて、地上の教会の享受的過ちは天国とは関係ない。
ジュラール!
もうすぐ会えるね。
キリコにも、チリストにも。
人の子よ。
あなた一度だけ、キスしてもいいですか?
それにゴーダマ。
あなたの89歳の祝福を受けてくれますか?
そうでなければ、
神様は神様でも善でも何でもない。
神と共にあれと言う言葉は、
さよならと同じ意味になる。
そうでなければ、
私が意志の力でそうしてやるさ。
9歳のジェラールは、
天国の人気者である。
笑えるだろう。
あそこは恍惚。
ピーターは驚嘆。
ニールはやっと寂しい満顔。
おすましのキャロラインに相も変わらぬママ。
優しいルロイ。
賢いルシアン。
天使みたいなヤナ。
ドウディは天国の門にペンキを塗るのが聖なる道だ。
ナポレオンの時世にロケットを発明した。
仲間たちは髭をなでる。
ヒットラーと一緒。
門の外でおあずけだ。
だって天国は広いから、
限りなく何もない空間だ。
あったことも、なかったことも。
とにかく数限りない存在を受け入れることも、
受け入れないこともできるのさ。
神様が微笑む。
とても嬉しいさようなら。
ルイ・アームストロングが吹き捲くる。
天国の優等生。
死の暗い影を思う賢い天使たちが、
いまだ生きている。
殉教者の胎児たちを、
下界に生まれる者をやめよと言う。
首を振りながら悲しく、
納得してるけど神様は微笑むだけ。
上の世界には時はないから、凄い。
もう私は口をつぐもう。
もう一言だけ、
いすれ私たちが恐竜の大きな口や歯を調べられるようになった時、
恐竜は大きな悲しい目で私たちを見るだろう。
数ある宇宙の惑星からやがて来た、
自由意志のある生物やない生物すべてが、
小さな人間まで含めて存在する。
お互い優雅な言葉でそれぞれの経験を話し合う。
限りなく続く神様の顔を見る時、
神様の顔の他は何も見えない。
そう最後には、
この地面の茶色の砂粒の向こうに見るのだから。
私の証人。
私の遺言も。
これが私の遺言、子孫に残しておきたいもの。
おいで、小さな生まれざる天使たちよ1
早くかたずけてしまいなさい。
私は果てしない木立の木々を、
果てしなく、果てしなく、
訪れて会うみんなと挨拶に交わすつもり。
今度は話してくれるだろう。
スペインの地で見た。
恋の数々も無駄ではなかった。
娘たちがごく普通にアンジェリーナと呼ばれていた。
最後に神が顔を見せる時にも、
水爆のような騒ぎにはならない。
ただ突然の幸福感。
母の胸の中に自分の子供のような顔を、
初めて見て急に泣きたくなるそんな感じ。
そして私は叫びたくなる。
「ハハハ」とか、
『ワオー』とか。
だって老いが発展した天使だと分かったから。
手足をもぎ取られた人たちが、
枝からもぎ取られた木のは葉のように浮いている。
他の人よりちょっと珍しいだけ。
天国では同じように笑って浮かんでいる。
足無し男もローラーボード無し。
ちびのティムは、
神はすべてを祝福したもうと叫び続ける。
セバステャンがすすり泣くとシカゴの聖母学園の火事で、
焼け死んだ子供たちは、
青と白の処女マリアの金色に輝く底で、
いつまでも黒人坊やのまま。
私たちはみんな生まれた場所へと戻って行くのだから。
神の輝く頭脳へ、
神の地へ、
超越的眼球へ。
天国まで行ってもまだ無知で愉快な仏教とたちが、
サヨナラと叫ぶ。
おかしなサークルもある。
彼らに祝福あれ。
ステラがセバスチャンを祝福し。
禅僧が陀に公安を出す。
ロジャースをハマースタインは永遠にヒットを飛ばし続ける。
仕舞にはブローズウェイだってそっくりやってる。
アンリクルーは十億人の聴衆に語り続け、
グレゴリー・コーソは月桂樹の枝を髪に差して、
詩を書きながら踊るだろう。
待ってろ。
私もやるぞ。
フィルウェイレンが好きな時に青い雲になああり。
ボブ・ドンソンは永遠の青い瞳で、
ミルクバーから外を眺める。
W・C・フィールズは安ウイスキーにありついて。
私のそばにはいつも猫のティミーとタイクもやきもちもやかず、
ブーツやキューピーやディビーやビューティや、
ボブまでも仲良くする。
丸くてちっちゃな目が、
永遠に私の腕にとまってられる。
私たちはみんなで神に会う時まで、
私たちの愛するものがみなひとつに溶けて輝く時まで、
ね?
私の殺した小さなネズミは、
私をむさぼり食い。
金色のお腹に飲み込む。
あのネズミは神様だった。
ダンディーとペプトリーが結婚する。
もう充分だろ。
ね?
『スキャッターズ・ポエズム』から、
私ははっきり見た。
私ははっきりと骸骨を見た。
個性をひけらかす上っ面の下に人を、
その誇りの下に、
いったい何があるというんだ。
骸骨以外に何が?
毎晩ヤツの喉を通過し消えて行ったつまみ風呂桶何杯分かの酒。
骨———墓の中でふさぎ込むヤツ。
人相まで変わった。
ヤツからも便りはない。
生は病み、犬はむせる。
蜂は飛び、
鳥は鳴き、
木々をすきで引き、
森は叫び、
人は死ぬ。
ダニが奮闘し、
書き物が偽証し、
蛾が飛翔する。
サヨウナラ。
   mitomo

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