2011/07/02

飛行機



雲の上を遠くにオレンジ色の光の波をたずさえて、
並行して飛ぶ。
今は夕暮れ。
太陽が西の空に早くも降りて、
おぼつかない光の線が見えるだけ。
雲は白くうねるようにでこぼこに下にある。
しきつめられているようだ。
空気は上へ下へと転化し、
雲のはざまから少しの街の光が見え隠れする。
一瞬光が走る。
レインボーに輝く。
光の帯がどこまでもついて来る。
下に沈んだ雲は次第に黒ずんでやがて真っ黒になるだろう。
レインボーの光もやがて消えるだろう。
そうして街の光が輝き出すとき、
飛行機は着陸の途につく。
なんと素晴らしい光と自然の調和。
ハーモニーを創り出す。
ビューティフル・ヴィジョン。
この暮れかける光の渦に、
目は至福の光を見つめる。
並行してつづくオレンジ色の光の線。
下方に見える宝石のようにちりばめられた街の光。
ああ、なんとせつなく幸せへと導いてくれる光の魔術。
心から高揚するのを感じる。
悲しくもあり、
うれしくもあり、
光はとてつもないグラディエーションを生み出す。
また宝石を放つ街が下方に見えて来た。
ひとつひとつの光に生活とだんらんが満ちあふれ、
心をホッと暖かくしてくれる。
光は何と未来的なことか?
光は何と覚醒を誘うことか?
私の目はどこまでも光の魔術に引かれつづける。
 御供 2001/5/28

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