2011/05/10

チェ・ゲバラパート1



ゲバラは革命家というよりは旅人でした。
なによりも冒険をこよなく愛した。
セルバンテスを愛し、
ゲーテを愛した。
死の果てまで旅は続いたけれど、
それはチェ・ゲバラが夢を見ていたからだ。
死にいちばん近いところにチェ・ゲバラの夢はあった。
ゲバラは13歳の時に最初の放浪を経験する。
1ヶ月間13歳の少年はアルゼンチン北部を歩き回った。
木の下で眠り、
農作業を手伝って食べ物を得た。
以来、旅しようという衝動が常にゲバラの心の中を支配した。
何度も小さな放浪を繰り返しながら、
エルネスト・ゲバラ・ラ・デ・ラ・セルナは多くの感受性で少年期を過ごした。
徒歩、自転車、オートバイ、イカダ。
ゲバラの旅はいつだって大地と、
そこに根ざした人間との対話するものだった。
若きゲバラは「転がる石」
ライカ・ローリング・ストーンそのものだった。
友人のグラナードと中古のバイクでアンデスを越えたのは23歳。
医学生の時だ。
病院で働いたり、
サッカーやラグビーのコーチをしたりした。
南米大陸を横断するこの放浪は8ヶ月にわたった。
旅をしながらゲバラは日記のように詩を書いた。
日記という習慣の詩は真実の心の声のように、
萌芽のままの状態でボリビアで果てるまで続いた。
彼の詩は生涯果てる瞬間まで途絶えることがなかった。
旅はゲバラを育てた。
帝国主義の最後の輝きをまだ誇っていた南米各地で、
ゲバラは世界を知った。
社会の矛盾を貧しさの原因を知った。
旅はゲバラを旅人から革命家へと育てていった。
大学を卒業して正式な医師となったゲバラは、
ボリビアに向かって出発した。
裕福な生活も安穏な未来も結婚の約束も棄てて、
ゲバラは旅だった。
終わりのない旅へ。
まだ見ぬ道を求めて。
 御供 1998/7/22

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