2010/11/28

マジック・シアター両角氏


軽くコギぎましょう

 はたして第何次であるのかは知らないが、どうやら巷は自転車ブームであるらしい。
(自転車と書いてチャリとかチャリンコとかバイクとか好きに読んでください。)
そのブームに乗ったというわけでもないんだけど、最近になって僕も新しい自転車を買ってみた。
流行のロードバイクとかピストとかではなく、フォールディングバイクと呼ばれる折りたたみの出来る小径車だ。
MTBも持ってるしBMXも持ってるのに、なぜまたこれを選んだかと言えば理由は単純明快、楽チンだからだ。

 自転車で遠くに出かけることは楽しい。
それは、自力で何処まで行けるのかという、少年時代に誰もが持っていた冒険心のようなものによるところが大きいんだと思うが。
その感覚は大人になってさえ消えることはない。
が、しかし、冒険というのは行ったままで済むわけのものでもなく、行ったからには行った分だけ帰ってこなくてはならない。
30分程度の道程であれば、何割り増しかの時間を費やせば、違う道を選んで帰ってくることも出来るだろうが、5時間も6時間も漕いでしまった日には、そういうワケにもいかない。
遠くに行けば行くほど、同じ道を辿って帰ってこなきゃいけないというリスクは否応なく増していくワケで、これはもう苦痛と言う以外の何者でもない。その手の苦労は”ET”が”KUWAHARA”の自転車で空を飛ぶより以前、僕がBMXに乗っていた少年時代にさんざん体験済みで、そのことは振り返るだけでもおぞましい。当時は20インチタイヤに固定ギアで往復100キロ以上も走ってヒィーヒィー言っていたわけだが、今さら同じような苦労をわざわざ買ってすることもないだろう。多少言い方が悪くなるが、帰り道なんぞにそれだけの情熱は掛けられない、というか、掛けてたまるかという感じだ。

そこへ行くと折りたたみ自転車は楽チンだ。イヤになったらその時点で止めれしまえばいいんだから。
「ああ、今日は良く漕いだなあ。風が爽やかだ」ぐらいの、ノン気なことを言ってられると段階で止めてしまえばいい。
高原の駅に降り立ってサクサク組み立て、景色のいい田舎道を下るだけ下ってそこで止めちゃうというのもいい。
あとは畳んで袋にしまえば普通に電車かバスで帰ってこられるという寸法だ。
その畳み方にしたところで、クイックになった金具をいくつか緩めてやればそれで済むので、じつにお手軽だ。
そのうえ行った先に銭湯か温泉でも探して、ひと風呂浴びてビールでも飲んじゃえば申し分ない。

ヒトって言うのは意外にというか、思った通りにというか、じつに単純な生き物で。「行くところまで行って嫌になったら止めてもいいんだぜ」と
最初から思っていると、案外遠くまで行けてしまう。そういう意味では「今さらながら日本一周」もあながち夢ではないように思う。
とにかく行けるところまで行って嫌になったら帰ってくる。で、次回のツーリングは諦めたその場所まで電車で行って、そこから先の行程にもう一度トライすすればいいんだから。
 気負う必要はないし、格好つける必要もない。気負うからリスクを負うんだし挫折もする。格好つけようとするから必要以上に無理もする。
むしろ日常の延長線上で、そこからほんのチョットはみ出す程度がいい。
バキバキにキメるんじゃなくて「ちょっとその辺にお買い物」ぐらいの軽い気持ちで出かけるのが、かえって格好いいんじゃないかと思う。
皆さんもいかがですか。軽い気持ちで「今さらながら日本一周」。



アトリエ・マジックシアター 
両角 毅

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