夜通し明るい都会の路上では車が行き交う。
この遅い時間で目覚めているのは、
貧困と悪徳だけだ。
私は挨拶する。
目覚めている都会人よ。
苦しみ虐げられている都会人よ。
騒々しく笑い声をたてる都会人よ。
都会人よ、みな私の兄弟なのだ。
私はしばしば荒くれ者。
口をきわめて都会をののしる。
夜な夜な酒盛りをして騒ぎ、
鋭い機知をいくつもものにした。
都会人たちは深夜の路上を歩きつづけた。
何かに向かって歩いている。
それが解らぬまま、
暗い闇が重なる影が都会人たちの夢を冷やした。
けれども都会人たちの胸には、
燃える憧れに捕らえられる。
光の先へと悩み焦がれていた。
都会人たちには見えない。
頭上には見えぬが、
空が澄み渡り、銀の星が清らかに輝いている。
夢、遠く離れて黙り、
私の心は苦しく波立っている。
深夜の路上で見る夢は夜ごと同じ夢。
私の心は苦しくすすり泣いている。
時は過ぎ行く、今は真夜中。
遠くの、また近くの都会人たちよ。
悩みへのなぐさめを、
星々の世界に夢見る人々よ。
言葉もなく耐え忍びながら、
深夜の路上で車が止まった。
中からは人が出て来ない。
止まったまま動かない。
何をしているのか?
車は車ではなく、
ただのハコとしてそこにある。
こんな不思議な深夜の路上で、
私は夢を見る。
明日の太陽はやさしく、
都会のすみずみまで照らし出すだろう。
人々の心にあたたかさを与えてくれるのか。
そう信じて家路につこう。
御供
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