人生の不断を旅となし、
人間を永遠の旅人として見つめる。
旅人の視点から日常を振り返る。
そこに所有という名の喪失を、
安住という名の挫折を見出していく。
自分が社会には安住できない人間であると思い知る。
永遠にさすらい続けるのもいい。
誰からも愛されながら、
決してひとところに安住することのできない旅人。
放浪者の移ろいゆく定めを負う。
美が常に悲しみの衣に包まれているように、
深い悲しみに彩られる。
このような旅人のあり方は、
やがてアウトサイダーと呼ばれる。
人生の歩みの中で、
老成とともに叡智が輝き出るように数を増していく。
孤独を叡智として抱えようとする姿勢には、
孤立感を昇華しようとする。
それは切実な試みである。
幸福の追求を断念して、
初めて幸福が得られる。
新たな旅立ちの喜びが、
また祈りにも似た感動が込められる。
様々な驚きと幻滅を感じつつ、
自分が自分でしかありえないことを痛感する。
漂流するしかない自分の宿命を、
悲痛なまでに確認する。
死の脅威に暴力的にさらされた人間として、
悲しみとの共感を手に入れる。
自己陶酔的な美の雰囲気を求めながら、
深い内省と自己凝視を宿すようになる。
身も凍るような厳しさの中で研ぎすまされていく。
戦いと言う未曾有の人災により、
人間の心に深い闇を知る。
何よりもその闇が自分の体の中に抜きがたく、
わだかまっていくことを思い知る。
自己の災厄を世界の災厄に重ね合わせ、
普遍的な人間性に開かれていることを実感する。
私生活をめぐる苦悩も、
人間の苦悩へと昇華していく。
内面世界に広々と広がる宇宙が、
そして外部世界と内なる宇宙との合一が描かれる。
激しく仮借ない自己検証を繰り返す。
極論を恐れずに言えば、
その美しく整った世界観を打破する。
刹那的なもの、
悪魔的なものを取り込もうと苦闘する。
均整と潤和をあえて遠ざけるように、
ひたすら激しく荒れ狂う混沌の中に立つ。
刹那的な衝動と瞬間の享楽におちいる。
その味わいは強い麻薬のような感覚を撹乱させ、
心の奥底に封印される。
禁じられた祝祭を解放しようとする。
自暴自棄といえる苦に、
死の恐怖と快感。
深い絶望に虚無を示す。
平和的善的なヒューマニズムとして語る。
それはあまりにも大きく複雑な内実を内に秘めている。
無邪気な若さと、
みじめな老い。
恋する相手への激しく赤裸々な思い。
抑えようもなくほとばしる突き上げる情熱。
あたかも消えようとしている炎を燃え上がらせる。
悲痛な執着さえ、そこに漂っている。
観念的ではなく、現実として死の実感が充満する。
乾いた笑い。
誕生と死は変わることなく、
永遠に繰り返されている。
人間は個として存在しているのではなく、
長い進化のひとこまとして存在する。
ふたつの楽園は過去と未来へと、
延長された無限のつながりの中にある。
はじめてその存在の意義をみる。
あたかも自分の尻尾を噛み付こうとしている犬のように。
それは永遠に解ることのない謎でしかない。
自分を超ええること。
他者のために自分を投げ出すこと。
さらにそれを凝縮した言葉によって包み込む、
その中にしか救いはない。
奉仕という形で生まれる長いさすらいは終わりない。
自分の内面世界にその実話を求める。
ただそれだけである。
詩とはなんであるのか?
詩とはなんのために書くのか?
それは誰も解らない。
ただ、風の中にある。
御供
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