2010/06/05

何処かへ


大都会という砂漠で、
人間という人ごみの中で生きる。
私はさまよう。
そして、自分の重荷を背負ってその下でうめく。
気づいた時には、
忘れられて立ち尽くす。
夢のように遠いところに、
私はやすらぐ場所があると信じている。
魂が再び私を何処かへ連れていく。
まどろみの夜が私を不安にさせる頃、
大都会の街の片隅をよろよろとあてもなく何処かへ。
どこに行けばいいのかわからず足を早める。
何処へ行けばいいのだ。
どこかやすらぐところがあるんだったら教えてよ。
どこにもないとわかっていても向かわずにはいられない。
何処へ行かずにはいられない私に、
もっといい何処かへ。
私は憧れ、
次から次へとあくことのない旅が始まる。
でも何処へ行こうと同じこと。
きっとそこは心の中にあるに違いない。
何処へ行くより、
自分の中の宇宙に飛び出そう。
私はこういう人々を知っている、
童心を深く宿している人。
そういう人々は童心の不思議な力を砕いてしまうことはない。
そういう人々は夢に包まれて盲目のうちに生き、
日常の言葉を話すことを決して覚えない。
災害がそういう人々を驚かし、
いきなり白日の現実へ呼び戻す。
痛ましく何処かへ行きたくなる。
夢から追い出されて途方にくれる。
恐ろしい人生を生きる。
無情なものはすみやかに沈み、
枯れた年々はすみやかに移り去る。
私の目の奥の魂は、
あざけらず、痛まず、
動ぜず世の中の営みを見ている。
今としては『無情』も『永遠』も等しい。
尊くあり、生きていることである。
だが心はそれに逆らい、
愛に燃え上がる。
限りない何処かへ。
限りない愛の叫びに、
苦悩は私を打ちのめす名人だ。
知恵と愛は時として小さくなって何処かへ行くことを考える。
慰めと希望は博し、はかなくなる。
苦痛は激しく、嫉妬さえ愛する。
私は溶け去り苦痛の虜になる。
血中のかたちである自我が何処かへ向かわせる。
まがり、抵抗し、逆らいながら。
何処へ行ったって変わりはしない。
何も変わりはしない。
ここで何につけても少しづつかたずけよう。
未解決な問題を!
  御供  2004/9/15 12/2/1

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