2010/06/09

朝が来るまで


大都会の街は24時間ノンストップで動き続ける。
だから、朝が来たという感覚は目覚めた時と考える。
都市生活者の生活は、
昼と夜が逆になってしまったかのように思う。
特に真昼の太陽が照りつける季節。
あまりの日中の熱さに、
行動を起こせないでいる。
昼間眠り、
涼しくなった夕方から動き始める。
だから、朝が来るという感覚は夕方というわけだ。
クーラーの外室機の熱さと紫外線。
真夏の太陽の下では思うように動き回る事さえできない。
起きるのは自然と太陽が西に傾く夕方になる。
夕暮れがブルーから暗いブルーに移り変わる頃、
『朝が来る』
そして街へ出かけて友人と会う。
買い物をするという日常の生活をする。
ここ何年かの夏は猛暑が続き、
熱帯夜が毎日のように続く。
都市生活者の『朝が来る』という意識を変えている。
今ほど都市に人口が集中していなかった時代には、
こんな『朝が来る』ことを誰が考えただろう。
昼を寝て過ごし、
夜になると行動を始める。
社会には自由人たちが恐るべき早さで増えている。
これからの都市生活者は精神に不安を感じる。
自然の摂理に反しているのだから、
どこかバランスが崩れてしまうだろう。
肉体よりも精神に異常をきたし、
太陽の持つ明るさを見失う。
人工的な光の中に身をおいて、
暗闇をさまよい歩く。
人と出会っても挨拶ひとつかわすことさえ忘れている。
人間同士の触れ合いもなくなる。
コンピューターやコンビニエンス・ストアと仲良くする。
すべての時間を奪い取られる。
『朝が来る』という自然現象から遠ざかる。
自分のいる位置すら確認できないでいる。
一日の24時間のリズムを、
元に戻して生活しよう。
規則正しい、朝、昼、夜のリズムこそ、
精神の異常を治す特効薬に違いない。
   御供 2000/7/26

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