2010/06/09

詩人からの手紙


大都会に時をうばわれている者たちよ。
スタートしよう。
始まる以前にいるだけじゃ変わりはしないのだから。
心の中のあらゆる未開発のものに対して忍耐を持ち、
問い、それを閉ざすこと無く。
非常に未知な言葉で書かれた本のように愛することを忘れないで欲しい。
都会人たちよ。
今、答えが与えられないのは、
答えを求めて生きていないからに他ならない。
今の大都会に何よりを肝用なのは、
すべてを生きるということ。
今は、問いそのものを生きなければいけない時代なのだから。
そうすれば気づかぬままに、おもむろに、
いつの日か、答えのうちに生きているに違いない。
おそれく、そうすることが特別に幸福なやり方だ。
形成し、形を与えられる可能性を自分自身で持つこと。
そのために自分自身を育てることだ。
訪れてくるものに大きく信頼を込めて受け止めること。
もし自分の意志に内面の何かを脅かされているとしたら、
新しい勇気を引き受けて何ものにもスタートをきる。
都会人に課せられた悩みは、
いろいろなものがあるがためにより重いものになっている。
それに気づいて、
真面目な物事のほとんどに学ぶことだ。
少しでも早く認識し、
自分の素質ややり方で始めること。
まったく独自のやり方を探し出せば、
もう自分を失ったりはしない。
最上の所有に自分がふさわしくないなどと、
恐れたりすることもなく行動する。
生きることができる。
まず、始めること。
スタートしなければ、
詩人の手紙は受け取ることができないのだ。
愛する詩人の手紙を受け取ることができるのは、
まずは手紙を受け取ることを考えることからだ。
始まることを知らなければならないということだ。
 リルケから
 御供  2000/7/14

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