2010/04/20

耳を開く



耳栓をしている夢をみた。
本当に失ったのは言葉。
世界から言葉がなくなる。
誰も気がつかない。
言葉を複雑にしたがために言葉が単純になった。
同じところに国を創った。
だから私は同じ言葉を覚えた。
ところで無くした耳栓はひとつなのだ。
仕方なく一個だけ耳につめた。
半分だけ聞いてみた。
驚くべきことに、
とりとめのない言葉のやりとりにおいてなに不自由なかった。
主語などいらない。
主語がいらないのを知ると不自由はない。
詩的言語空間を論じる。
私はうつろな人間。
言葉は無くなり、
統制人間の頭になる。
耳栓を探すのをやめ、
私はこっそりと私の主語を掘り起こした。
それは芽を出し、
いずれ一本の木となる。
裸の山の頂上で、
新しい木は言葉をつける。
光を受けて輝き出す。
言葉という言葉にくるまれた木になる。
揺さぶって、
もっと揺さぶって。
残らず落としてしまいたい。
新しい言葉が再び世界に緑で包み込むまで。
いつまでも!
いつまでも!
  御供 2000/12/9  14/4/14

0 件のコメント: