街角にはびこる狂気。
荒れ狂う街の中の空気や風。
ごうごうと死の香りを漂わせる。
それは神が望んだことなのか?
行き交う人は挨拶を交わすこともなく。
ここの人間の中ではいつも私は異邦人。
ただあてもなくさまようばかり。
それは神の手の導きなのか?
さまよいの心のみじめさ、
それは自由につながっていると人間たちは言う。
その苦悩を見ているのか?
ああ、神はもう死んだ。
それでも私に生きろというのか。
ああ、真剣に私が悩んだ難しい問題はみな塵と消えるのか?
私の疲れた目はどこを見てもいない。
読んだ本の内容もすべて忘れようとしている。
だがまた今、私の目は癒されて元気を取り戻す。
新しく沸き立つ世界を見つめている。
美しいだけの移ろいゆく眺めは、
心の中にくっきりと書き記されている。
幾度季節がめぐり来ようとも消えることはない。
どんな風にももう吹き飛ばされはしない。
銀色の笑いを誘う面白おかしな小話。
英雄と女性の冒険。
渡り鳥の飛ぶ違うその国へと向かう。
これらのものはいったい何なのか。
君たちに教えてあげよう。
夜におぼれる夢から、
悲しくもあざやかに立ち上がる。
私はただ心の中の詩をうたっていたい。
心のすべてをふるわせるもの。
それについて考えることは黙ることではない。
天使の手が触るように心を動かして、
カナリヤの歌を歌うように詩を書く。
明るく愛らしいカナリヤの歌のよう。
心の痛みはしずまり、
古い苦悩は夢と忘却の中に沈んでいく。
それは、ただ今だけのことなのか。
一日だけのことなのか。
一生のうちのこの一日だけのことであるのか。
何と素晴らしい時間なんだ。
時間のおりなす奇跡よ。
みんな目覚めよう。
静かなときが穏やかに忍び寄る。
すべての苦悩の心は沈黙の中に沈む。
苦悩はすべて消え失せて心をまどろみの中におく。
また目覚めてみるとあたりは深い闇に包まれている。
だが、長い麻痺に閉ざされていた心が元気になる。
心は突然引き上げられて、
過去の情熱が新たに浮かび上がる。
すべてが解き放されている。
心よ、もう目覚めたのか!
心は新たな悩みを迎えるが対処は知っている。
楽しみを決断して新しい風を吹かせる。
私の心は生まれたばかりの子供のようだ。
太陽が輝いているときは、まだ大丈夫。
なのに夜になると心はおびえる。
ワインは夜だけを支配する。
風が吹き抜ける。
雨が降り落ちる中を、
ひとりあてもなく歩きつづける。
そうして、私は心に耳を傾けて聞き入る。
夜の中を手探りしながら、
街角で私は楽しい歌を歌いつづける。
昼には好ましく思えたものすべてが、
苦しみと痙攣と暗闇の中に消えていく。
輝くばかりの花をみて今をもりもりと喜びあふれる。
次の風に吹き飛ばされてしまうかもしれない。
ひとつの苦悩と創造によって甘い果実は生まれるのか。
それが熟するならば、
悩みも痛みも無駄ではなかったのだ。
いとおしい愛から目覚めても私は片目で世界をにらんでいる。
私は自分の力に病んでいる。
夢見ながら罪を犯した私は悪い夢をひとり言のように告げる。
私自身のあり方を記しているだけの詩である。
私という人間のあり方は宣告されない。
そして、この嬉しい挑戦から私を解放するのはいつなのか?
私は私で私の詩を苦悩の中で書きつづける。
御供 11/12/5 14/8/1
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