2010/05/07

直立猿人



夜が偏執的に酩酊している。
河はあまりにも静かに流れている。
ぼろ切れに包まれた今がここにある。
遠い街に降る揺すられない雨の中。
都市の裏側に到着する。
キミは食肉中毒の素晴らしい荒廃感に悩んでいる。
字で書いた陰気な映画。
西瓜を持って死んだ男の夜の洪水。
そして城。
高まるモナムウル。
モナムウルの連鎖のうずの谷間で流す彼女の汗。
たえず開放しなければならない戸口。
女たちの手の中の星となってキミの暗黒を覗く。
苦痛がキミの目を閉ざし広場をからっぽにする。
ひとりぼっちにならなければならない恋人たち。
恋人の心臓をかきむしっていく一匹の虫。
埋没する群衆のための非常に無意味な落日。
普遍的な缶切りはなく、
キラキラする別れの瞬間がある。
その時に不意に眠りから覚める。
意味不明な怒りを覚える。
脱落する花火に向かってキミは出て行く。
まるで直立猿人のように。
 御供 2004/1/16  14/7/29

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