2010/05/27

心無しか


心を呼ぶ声が聞こえる。
どこから湧いて来るのかわからない雑音と共に、
心に呼びかける声が聞こえてくる。
奥底まで震えるような声がひびいてくる。
どこから聞こえてくるのかわからない大きな声。
誰の声とも想像のつかぬこの声に引き寄せられて、
人間の心は上へ下へと揺りかごのように動きつづける。
心に呼びかける声は、はしゃぎ、踊り、狂い、悲しみ、喜び、
多くの魂を集めてひびいてくる。
どこからとこなく聞こえて心無しか消えていってしまう。
耳の奥に跡形もなく無くなってしまう。
精神下の声。
生きていくための魂の叫びのような声。
心の声はいつも風と共に私の耳に届く。
そんな時、多くのことを考える。
こんな社会の渦の中にいて私は幸せなのか?
アジアという世界の片隅で心の叫びの声を聞く時、
大きな矛盾と葛藤が入り交じる。
私の心は燃える。
突き動かされるかのように旅に出る。
あても無い旅は生きるという行為とともにある。
喜びの声とや楽しみの声となって心無しか訪れる。
一瞬の一時の中に、笑いながら押し入って来る。
目はモノを語らず、
口は何も開かずにいる。
耳はどの世界も聞かずして心無しかそっと忍び寄る。
私は必至でやさしい出会いを夢見て眠りつづける。
乾ききった空気を肌に感じて、
冷えきった風と共に動きつづける心の内面下。
音によって呼びもどされる。
光によって導かれる。
今になって目が覚め、
未知なるものに真っすぐ進む。
この動きはもう決まっている。
運命のように私を突き動かす。
神が決めたものでなく。
国が決めるものでもなく。
私は私自身の中に心無しか思うことがすべてを支配する。
そうわかっていても、
納得いかぬ暗い影によって謎とされているもの。
心の奥深くに秘そんでいる得体もしれないもの。
声は再び天高くから舞い降りてくる。
瞬間、瞬間を刻むようにして亀裂の破れ目から入り込んでくる。
どうしてふせぐことなどできよう。
私はただひとりの人間でしかないのだ。
心の声とはいったい誰が聞かせてくれるものなのか?
少し考えてわかってきた。
向かう方向を見失わなければ、それでいい。
心は正しく豊かに生まれ変わる。
恐怖のどん底から私ははい上がることをしっかりと知る。
心を元にもどす。
あるもの思いにふける時、
今ままでにもあったかのように繰り返されていく。
よりによって思いもよらない考えの中から、
未解決な問題がひとつひとつ解決に導かれる。
問題が解きあかされていく。
光は多くのものを明白にして心無しか消えていく。
この消えてしまったものを誰も考えない時が来る。
うれしい沈黙とともにゆるやかな時間が訪れる。
私は生きる喜びを知る。
生きているのに理由などいるか。
理由があるから生きるのか。
   H.MITOMO

0 件のコメント: