2010/04/02

雨の夜


道路から屋根にも壁にも見渡す限り、
果てしなく雨が降りしきる。
遠くに霞むネオンまで、
風に吹かれてボンヤリと光をはなつ。
雨がすべてをしっぽりと包んでいる。
雨は大地を濡らし、
うねり、流れ、嘆き、
震えながら、
ひそかに暗い衝動を音に包む。
言葉に見つけられずに、
心をここにもかしこにも揺れ動かしている。
風に吹かれて、
降りしきる夜の雨。
音となり、
「シトシト、ジャブジャブ、ランランラン」
静かにみなぎる音となる。
開いた窓から、
夜の雨が流れ入る。
そして、予感に満ちた夢を送り出す。
ささやきながら、
古い時代を語り合う。
月が落ちて、
遠くにはすでに満月が停まる。
街のネオンだけが、
雨の中を照らしている。
夜の雨は人を盲目に、
そして、体を休める。
確かな時間。
夜は冷えて、
遠くには不思議な光が長い影を引いている。
私は吸い込まれるように、
手探りで人生を探す。
私は夜の雨の中で、
何を震えているのか。
青く暗い夜が深々とたちこめている。
突然開いた雲の切れ間から、
魂は揺り動かされる。
深い穴倉から高々と燃え上がる。
私の情熱。
夜の雨の中で、
私は呼び起こされる。
確かに今の私はここにある。
   御供  2013/5/18

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