2010/04/02

あなたに


私の幼い日々を、
あなたの大きな翼が包んでいた。
近くには緑が萌える。
私の青春の歳月は、
あなたの手に引かれて過ぎ去った。
やがてひとりになると、
時の暗い流れの中に沈み込む。
果て知れず、私の孤独が広がる。
私はあなたにいつまでも近くにいて欲しかった。
あなたがいないと知った時、
どこか心の中に穴があいたような気がした。
寄りどころのない気がした。
帰る家がない家なき子のように、
私の心は空をさまよい歩いた。
私の目が永遠に閉じられる時、
あなたにまた会えるのか。
いずこも知れず、
あなたの声を聞くことができるのか。
あなたとの小さな会話のいざかいは残らず忘れた。
近いものも遠いものもはるかにのせて、
私は星の彼方を探そうとした。
幸福の歌を口ずさみながら。
私のあなたへの気持ちは、
憧れとなって沸き上がる。
疲れるほどに眺めて立ち上がり、日が暮れる。
さあすべてを風にたくして、
私の熱い詩を送り出そう。
あなたを探して見つけ出せるように。
あなたを思い焦がれるこの胸の苦しみを、
あなたに告げ知らせるために。
あなたの眠りを奪ってしまうまでに、
私はあなたを思う。
   御供       11/12/19  2013/5/18
 おふくろに捧げる。

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